社外取締役対談

社外取締役がコーポレート・ガバナンスにおいてどのように機能しているか、また、ダスキンの目指す未来に向けて、今、ダスキンが何をなすべきか、ダスキンの企業価値向上について社外取締役のお二人にご議論いただきました。

  • 社外取締役 善積友弥
    社外取締役 善積 友弥
    1978年、味の素株式会社入社。2007年より同社取締役に就任し、アミノ酸カンパニー長、バイオ・ファイン事業本部北米本部長兼アメリカ味の素社(現味の素ヘルス・アンド・ニュートリション・ノースアメリカ社)取締役社長等を歴任した。2017年6月より当社取締役。
  • 社外取締役 関口暢子
    社外取締役 関口 暢子
    外資系企業、経営コンサルタントを経て2005年株式会社カプコン入社。
    2011年同社執行役員に就任、経営企画統括、人事本部長などを歴任。
    2019年6月より当社取締役。

どのような側面からダスキンの経営をご覧になっているか

善積:
ダスキンは、コーポレート・ガバナンスを重視しており、必要な情報は常に入手でき、社外取締役として仕事はしやすいと感じています。
一方、当社は加盟店とともに成長していくフランチャイズのビジネスモデルですが、それと同時に株式を公開しているパブリックカンパニーでもあるところに難しさがあります。一般企業と比べて、加盟店というステークホルダーがいるため、加盟店への対応が関心の中心となる時があり、社外役員の自分としては、取締役会では株主の視点から発言することを意識しています。
関口:
ダスキンの社外取締役に就任して1年になりますが、前職では経営企画、人事本部で成長戦略を担ってきたこともあり、ブレーキ側面のリスク統制やコントロールに限ることなく、アクセル側面の事業成長並びに企業価値向上を意識した発言や議論をさせていただいています。当社は事前の討議や事前説明が十分にあるため、その場の議論だけでなく、次につながる議論もできてきていると思います。
善積:
当社はどちらかというと私たち社外役員が取締役会で質問や意見を述べるケースが多く、私も前職で社内取締役の経験があるため事情はよく分かるのですが、社内取締役も全社利益、全社視点から、自分の担当領域以外の事業に対してもっと発言してほしいと願っています。理想論ではありますが、それができれば更に取締役会の実効性は向上すると思います。
関口:
取締役会に上程される議案ですが、事業からの個別議案が多いのも一つの課題だと考えています。取締役会は、会社全体の経営資源をどのように有効活用するのかを議論する場でなくてはなりません。したがって、部門から出た議案を承認する場であるだけでなく、全社利益について議論される場となるよう、議案を建設的に作っていくことも今後の取締役会運営の課題ではないでしょうか。

事業に対する評価とダスキンの今後について

善積:
当社は今、成長軌道に回帰するための大事な時期にきていますが、そのための仕組みはでき上がってきていると思います。まだ十分とは言えませんが、資本コストを意識した投資のハードルレートを設定するなど、単なる売上や営業利益だけの視点から脱皮しつつあると思います。資本コストも踏まえて選択と集中の視点を持って有限な経営資源をどこに振り向けるかを判断していけば、成長軌道への回帰はもっと鮮明になると思います。
関口:
経営資源という意味では、当社には、経営理念である「喜びのタネまき」をするというすばらしい資産があると思います。そういったダスキンの強みをしっかり認識し、加盟店も含めたビジネスモデルの中に組み込んでいってほしいです。デジタル化が進んでいくなかで「人と人」との接点を大切にしつつ、ビジネスモデルをどう転換させていくのかを考えなくてはなりません。加盟店とお客様の両方にとっての価値を創出するビジネスモデルは非常に難しいですが、世の中の事業の流れに合わせてフレキシブルに事業企画ができる人材が増えればビジネスのメインストリームができ、成長・発展していけるのではないでしょうか。そのためには、スキルセットを考慮した人事戦略も必要だと思います。
善積:
コロナ禍の影響を受け、あらゆる企業が対応を迫られていますが、訪販グループは全体としてこの状況下でも需要が急激には減ってはおらず、チャネルの強みが出ていると感じています。そうしたチャネルの強みはお客様との信頼関係があるからだと思います。訪販事業には、このチャネルの強みを更に活かし、時代にマッチした「暮らしのリズムを整える」商品やサービスの開発・提供を的確かつ迅速に行って、お客様の期待に一層応えていってほしいと思います。
関口:
コロナ禍において、改めてリアルの大切さを認識したことも事実です。高齢化が進んでいく社会でリアルでの対応は重要になってきますが、リアルという面では当社はすでにアドバンテージを持っているかと思います。一方で、コロナの影響によりオンライン化は急速に加速していくと思いますので、オンライン化について、より一層の強化は必要だと思います。
善積:
フードグループのミスタードーナツは、モノを売るだけでなくコトを提供し、トキを楽しんでもらうというコンセプトで、商品力の向上とともにイートインの強化を図ってきましたが、コロナ禍でイートインの需要が大きく落ち込んでしまいました。しかし、商品力や各種キャンペーンの企画力は大きく向上していますので、テイクアウトやデリバリーといった食事スタイルの変化にも対応していければ、早期の回復は十分に可能だと思っています。ここ数年が大きなポイントになると思います。

ダスキンのコーポレート・ガバナンスにとって必要なこと

善積:
コーポレート・ガバナンスの体制は整っているので、いかに魂を入れるかということだと思います。コーポレート・ガバナンスの議論が株主視点から出てくるのは、株主は最後に利益を受け取れないかもしれないというリスクを負っているからです。そういう視点から考えると、全社視点から更にガバナンスを機能させていくことで、収益力も高く働きやすい会社に成長できるのではないでしょうか。
関口:
ダスキンの企業文化は議論もしやすく、仕組みは整っています。ただ、中途採用が少なく、少しダスキンの単一的な文化になってしまっているところがあるので、ダイバーシティという観点からも、多面的な視点が取り入れられる仕組みづくりが必要かと思います。それが株主の意見を聞くだけではなく、当社の強みをこちらから積極的に認識、伝えていけるようなコーポレート機能強化にもつながると思います。
善積:
それから、当社の取締役は株主と接触する場面が少ないのではないかと思います。社長だけでなく、取締役が株主、機関投資家、お客様との対話をもっと増やすべきです。そうすると、自分の担当事業領域だけではなく全社視点からの発言、思考ができてきます。私の経験からも株主との対話は必ず結果に反映されてくると実感しています。

最後に

善積:
関口さんも触れられたように人事制度は見直すべき時期にあります。従業員が働くやりがい、生きがいを持ち、それによって生み出された成果とそれに対する報酬がうまくリンクするような設計がなされ、そうした働き方やマインドセットができると、もっと強い会社になると思います。
関口:
ダスキンのビジネスは女性の目線が必要なので、今後、社内からも女性で経営に関わる方が増えていくように、いろいろな観点からアドバイスできればと考えています。