第三者意見

株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
シニアマネジャー
村上 芽氏
経歴
京都大学法学部卒業後、銀行勤務を経て2003年株式会社日本総合研究所入社。2010年より創発戦略センターに所属し、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)関連の企業調査を手がける。

「CORPORATE REPORT2020 ダスキン統合レポート」を拝読しました。このレポートは「機関投資家を主な対象に、ダスキンの長期的な価値創造の全体像や経営戦略、業績、ESG情報等、財務情報と非財務情報を一体的に報告」する目的で作られています。

目的のとおり、レポートには多岐にわたる内容が含まれていますが、ここではダスキンの経営理念に込められた「喜びのタネまき」という考え方が、現在のダスキンでどのように具体化され、それが分かりやすく説明されているかという視点で意見を述べたいと思います。

まず、全体像については、P8〜9にかけて新たに示された「ダスキンの価値創造モデル」によってまとめられています。

価値創造のプロセスのインプットとしては、統合報告で広く用いられる6つの資本が示されており、P10ではそれに対する丁寧な解説がつけられています。他の多くの企業のレポートを読み比べる投資家の立場からすると、なじみのあるフレームを用いながらも、ダスキンの特徴をつかみやすい構成になっていると感じます。

特にフランチャイズシステムについて、「経営理念への賛同」があって初めてフランチャイズ契約に至ること、加盟店と目標を共有していることがダスキンの最大の強みであることがはっきりと伝わってきます。

今後への改善点としては、アウトカムの段階で、どのステークホルダーに対しどのような「喜びのタネ」が結実したのか、ひとめで分かるような価値創造モデルにしていかれることを期待致します。具体的には、「お客様価値」「社会価値」についても、可能なところから定量的に表現していくことを検討いただきたいと感じます。

次に、「喜びのタネまき」を実践し続けるために必要な経営基盤としてのガバナンスについては、P68〜69の「社外取締役対談」などから、体制が整い、議論しやすい仕組みが具体化している様子がうかがえます。対談では、社外取締役の役割や、取締役会での議論についても触れられており、読者のダスキンに対する理解を深めさせてくれる内容になっています。

三点目に、ダスキンがこれからどこにタネをまくのか、言い換えれば、ダスキンが現在や近い将来の社会的課題を何と考えるのか、については、P14〜15「リスクと機会」の一覧表を用いて明確に整理されました。想定されるリスクと同程度に多様な機会を認識しておられることが分かり、今後の「タネまき」への期待が広がります。

2020年は、新型コロナウイルスによる、未知の感染症の広がりというリスクを世界全体が経験する年となりました。2021年以降にはリスクと機会の認識や、CSVの取り組みにも変化が出るものと想像しますが、経営理念や目的の共有、ステークホルダーとの信頼関係をベースに、新たな外部環境のもとで「喜びのタネまき」を継続していかれることと思います。

このレポートをきっかけとして、ステークホルダーとの間で「タネまき」に向けた議論が深まることを期待致します。

第三者意見をいただいて

昨年に引き続き、ダスキングループの活動報告について貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました。

本年度の統合レポートは、当社の価値創造とともにCSVの取り組み、財務戦略・資本政策について理解を深めていただけるよう心がけました。特に内容を充実させた価値創造モデルの全体像やプロセスの解説、CSVリスクと機会、ならびに社外取締役をはじめとするガバナンス体制について評価をいただいたことを励みにして、今後もフランチャイズ全体で、更なる活動の深化を図ってまいります。

一方で、今後への期待としていただいたご意見については、当社の課題を的確にご指摘いただいていると真摯に受け止め、ご意見を参考にして具体的な施策や指標の充実を図り、より一体的な情報開示に努めてまいります。

これからも、ステークホルダーの皆様の期待と信頼に応えるべく継続して改善を図り、更なる企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指してまいります。

執行役員
CSR委員会 事務局長
大久保 裕行