第三者意見

株式会社日本総合研究所 理事 足達 英一郎 氏
株式会社日本総合研究所
理事 足達 英一郎 氏
経歴
1986年一橋大学経済学部卒業後、1990年株式会社日本総合研究所入社。経営戦略研究部、技術研究部を経て、現在、ESGリサーチセンター長。主に企業の社会的責任の観点からの産業調査、企業評価を手がける。

本年度発行された「統合レポート(CORPORATE REPORT 2018)」を拝読しました。「経営戦略や業績などの財務情報、ESG などの非財務情報を一体的かつ簡素に報告した」とする本号を通じ、中期経営方針2018 の推進において、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)の主要な要素が、どのように企業価値の創出に貢献しているかを理解しようと努めました。

ダスキンでは、この1年のあいだに「訪販グループ」への組織再編がありました。これは顧客起点のビジネスモデルを新たに志向されているものと理解しました。その成功の鍵は、顧客接点を担う加盟店や訪問販売・役務サービスを担う人材の確保、育成、活性化にあることは間違いありません。その観点から、本号で重視する非財務資本の特集として「持続可能なフランチャイズモデル」と「人づくり」を掲載されたことは説得力がありました。ただ、「ダスキンのフランチャイズパッケージの強みは何か」、「外国人スタッフ採用の手応えを踏まえ、将来の人材確保の見通しをどう考えておられるのか」について更に理解を深めたいと感じました。

さまざまな新施策に挑戦されているフード事業では、SWOT分析として「コンビニやスイーツ店の商品力向上」、「コーヒーチェーン店の台頭」などの脅威を率直に挙げておられることに納得感がありました。「健康志向」「安全志向」の商品開発として、厳しい原材料選定や品質管理を徹底されているとありますが、この点では、サプライチェーン対策、容器包装問題対応との結びつきを重視した情報開示の余地が残されていると感じました。

また、フード事業において、その拠点数は国内より海外の方が多いという事実を改めて認識しました。この点で、海外における事業活動に関する記述が限定的であることが気になりました。次号では、海外事業に関する情報開示の圧倒的強化を期待します。

本号で最も注目したのは、55〜56 ページに掲載された社外取締役メッセージでした。日本では、まだ社外取締役比率やジェンダーバランスのみがクローズアップされることが多いのですが、欧米先進国では足元、社外取締役に求められる専門性(スキル)と取締役会で果たす役割に関する議論が盛んです。ダスキンには、「生活者の視点で事業を見る」という役割を果たすべく、そうした知見を備えた社外取締役が既に3年前から就任されていることを知り、その先進性に敬服しました。

御社グループには株主を含むすべてのステークホルダーに対して高い感度を持つ企業文化・風土を継承され、構造改革への挑戦、海外展開の拡大を更に前進していかれることを期待いたします。

第三者意見をいただいて

ダスキングループの統合報告について、足達様には3年にわたり貴重なご意見をいただき感謝申し上げます。

本年度のレポートは、当社の価値創造とともに戦略や事業活動、ESG への取り組みについて、理解を深めていただけるよう心がけました。とくに内容を充実させた当社が重視する非財務資本「持続可能なフランチャイズモデル」「人づくり」「安全・安心」ならびに社外取締役をはじめとする「ガバナンス体制」について評価をいただいたことを励みにして、取り組みを拡充してまいります。

一方で、今後への期待としてご意見いただきました「フランチャイズパッケージの強み」「将来の人材確保の見通し」「サプライチェーン対策」「海外における事業活動」については、当社の課題を的確にご指摘いただいていると真摯に受け止め、ご意見を参考にして具体的な施策の検討ならびに情報開示に努めてまいります。

そして、今年度から始まった長期戦略第2フェーズ「中期経営方針2018」を着実に実行していくことで、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

執行役員
CSR委員会 事務局長
大久保 裕行