第三者意見

株式会社日本総合研究所 創発戦略センターシニアマネジャー 村上 芽 氏
株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
シニアマネジャー
村上 芽 氏
経歴
京都大学法学部卒業後、銀行勤務を経て2003年株式会社日本総合研究所入社。2010年より創発戦略センターに所属し、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)関連の企業調査を手がける。

「CORPORATE REPORT2019 ダスキン統合レポート」を拝読しました。このレポートは「機関投資家を主な読者と想定し、ダスキンの財務情報と非財務情報を、最近の企業活動から長期的な戦略まで、一体的に報告する」目的で作られています。

ダスキンの企業情報に触れると、経営理念に込められた「喜びのタネまき」という言葉に魅力を感じる読者が多いのではないでしょうか。ではその経営理念が、どのように具体的な利益に結びついているのかを知りたくなりますが、P19-20にかけて、「持続可能なフランチャイズシステム」「安全・安心を支える体制」「地域でもっとも信頼される人材」の3つの非財務資本が価値創造の源泉であると説明されています。それぞれについて簡潔に説明しておられ、非常に理解しやすいと感じました。なかでも、ダスキンの本部と加盟店のあいだを結ぶ太い矢印に、「経営理念への賛同」と明記されているところや、創業者から現在に至る人材育成の取り組み紹介が記憶に残ります。更にできれば、この説明に続けて、創造された財務価値・非財務価値をハイライトされると、より「一体的な報告」になると考えます。

また、複数の企業の報告書を読む投資家を意識し、分かりやすさ、特徴付けに気を配って作られていることも感じられます。特にガバナンス面において、「社外取締役インタビュー」の内容や、取締役会から予算進捗会議まで10の重要な会議体について、開催回数、構成員や主な機能を明記されたことは、読者のダスキンに対する理解を深めさせてくれます。

他方、「一体的な報告」という観点から手薄だと感じるのは、アジアにおけるダスキンの現状です。ダスキンの全体像を知りたい読者の期待に応えるためには、アジア各国における環境配慮や、労働側面の取り組みを、今後ぜひご紹介いただきたいと考えます。

「長期的な戦略」という観点では、「CSV重要課題」の5つの課題別の方針(P23)は、ダスキンの価値創造の源泉である3つの非財務資本をどのように強化していくのかを明確化したものと理解しました。これらの方針は、将来の環境・社会・地域の変化を見据えた内容ではありますが、方針に対する「取り組み」や「KPI」はややレベル感にばらつきがあり、表面的に整理された印象を与えかねない点がもったいないと感じました。方針から遡って、全社としての目標と個々の活動目標の関係性を明確にされると、読み手にとってよりよい理解につながるとともに、次期以降の活動の検討にも資する可能性があると考えます。

読み応えのあるこのレポートが、貴社グループとステークホルダーの相互理解や関係構築へのよき材料になることを期待致します。

第三者意見をいただいて

ダスキングループの活動報告について、貴重なご意見及びご指摘をいただき誠にありがとうございました。

本年度の統合レポートは、ダスキンの長期的な価値創造の全体像や成長戦略、ESG情報、SDGsへの貢献について、理解を深めていただけるよう内容を充実しました。また、「社会の持続的な発展」「環境との共生」「人づくり」の3つの領域を掲げ、事業を通じて社会の課題を解決するCSV(共通価値の創造)を推進していくことを明示しました。

当社の姿勢や取り組みについて一定の評価をいただいたことを励みにして、今後もフランチャイズ全体で、さらなる活動の深化を図ってまいります。一方で、今後への期待としていただいたご意見については、当社の課題を的確にご指摘いただいていると真摯に受け止め、ご意見を参考にして具体的な取り組みと指標の充実を図り、より一体的な情報開示に努めてまいります。

これからも、ステークホルダーの皆様の期待と信頼に応えるべく継続して改善を図り、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指してまいります。

執行役員
CSR委員会 事務局長
大久保 裕行