トップメッセージ

「世界一ひとにやさしいダスキン」を目指し
人々に「やさしさ」と「喜び」を
お届けする企業として
これからも成長を続けていきます。

株式会社ダスキン 代表取締役 社長執行役員 山村 輝治

コロナ禍により衛生意識が高まり、衛生管理や対策に対する需要が大幅に伸長しています。当社は「衛生のダスキン」へと舵を切り、長年培った高品質な製品とサービスにより、お客様が衛生環境を整えるためのお手伝いをする会社であることを打ち出しました。新中期経営方針のもと、時代の変化に応じたさまざまな改革を実行しながら、経済価値と社会価値、環境価値を相互に実現するためにガバナンスを強化し、持続的な成長を目指します。

ダスキンの役割とビジョン

「衛生のダスキン」に舵

当社は昨年来のコロナ禍において、「日々のあらゆる面で衛生環境を整える」ことを打ち出し、これまでの「お掃除のダスキン」から「衛生環境を整えるダスキン」へと大きく舵を切る方針を発表しました。ダスキンが提案する商品・サービスは、お客様の衛生環境を整えるためのものというメッセージを訴求することで、従来とは異なる客層にアプローチしていけると思います。衛生環境を整えたいという需要はコロナ禍で大きく増大し、衛生に関して敏感な層は若い年代へも広がっています。こうした層に、お掃除だけではなく「衛生的な生活環境を一緒に維持しませんか」という提案をしていこうと考えています。そのため、商品の衛生機能については現在、抗菌・抗ウイルス性などの性能が担保できるよう第三者機関に検査を依頼しています。今後は、商品の衛生機能を拡充できる研究機関、大学などとの共同研究や、ベンチャー企業への投資を通じて新しい成長機会を獲得していきます。

経営ビジョン概念図

海外への展開としては、台湾では害虫駆除の役務提供サービスを拡充し、成長路線を継続していく方針で、中国では、ダストコントロール以外の清掃関連ビジネスを積極的に展開していく考えで進めています。当社の各種サービスは他社にはない高い品質であるという評価をいただいており、アジア圏における日本の衛生に対する信頼も相まって今後、海外で「衛生のダスキン」ブランドを広げていける可能性があると思っています。

一方、フードグループについては、ミスタードーナツではテイクアウト需要の取り込みに加え、非接触の販売方法としてネットオーダーサービスを導入しました。フードグループでは前期に不採算で撤退した事業もあり、戦略的事業への集中投資を図るためにも、見極めを迅速に行い、事業ポートフォリオの適正化に取り組みます。

情報発信と流通を分業化

新中期経営方針の中でも重要となる施策が、DX 戦略による「情報と流通の改革」です。フランチャイズ運営は当社の強みである一方、お客様によっては、ご利用商品の情報収集が遅れたり、商品・サービスのご案内ができていなかったりする状況がありました。これを、お客様情報は本部と加盟店で共有しつつ、商品やサービスの提案や情報発信は本部が担い、加盟店は主に商品をお届けする流通に専念する体制に変えていきます。分業化することで、本部がお客様のニーズを直接把握し、お困りごとの解決につなげていけると考えています。

こうした変革を図る一方で、創業者が掲げた『人に、社会に、「喜びのタネまき」を』という経営の軸が変わることはありません。社会のお役に立ちながら成長し続けていく会社であるために、時代の変化に応じたさまざまな改革を実行していきます。

長期的な成長を実現するESGへの取り組み

脱炭素社会の実現に貢献するために

日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2030年までにCO2排出量を2013年度比で46%削減する目標を発表しており、ますます企業の脱炭素への取り組みが注視されるようになっています。当社の事業は、レンタルのモップ・マットを洗浄して繰り返し使う資源循環型のビジネスモデルですが、今後も更にESGの取り組みを強化することで、企業価値を高め、事業成長につなげていきたいと思います。

環境への取り組みとしては、加盟店を含め、現在、全国で多く走行している当社のレンタル・販売・技術サービス用車両のEV(電気自動車)化が考えられます。また、配送ルートの最適化によって、売上を維持しつつ台数を削減するという考え方もあります。加盟店の理解を得る必要があるため、一気に進めることはできませんが、まずはKPIを設定することで、徐々にシフトしていけると考えています。

挑戦を推奨することで人が育つ

脱炭素社会の実現に貢献するために

次に、ESGのSの部分である人材面の取り組みでは、長期的なものとして、70歳までの再雇用を視野に入れています。現在は60歳定年で65歳までの再雇用ですが、次の10年間で65歳定年、70歳までの再雇用を可能とするよう、制度改革を進めていきたいと思っています。2021年4月には業務効率化のため、各事業の管理部門を集約してシェアードサービスセンターの運用を開始しました。今後3年ほどで本社のスリム化とともに、組織の業務体制の再編を行う予定です。

また、来年4月には新人事制度を導入し、能力がある人を昇格させ、役職につけるなど、抜擢人事ができるように変更します。近年は共働きや家族の介護などもあり、転勤を望まない社員も増えているため、時代の変化に合わせて、人事制度や働き方を柔軟にすることで、多様な人材を受け入れたいと考えています。

求める人材像としては、やはり、自ら考え、行動できる人間になってほしいと思います。自分の意見を述べることで人間関係に亀裂が生まれることもあるかもしれませんが、周囲と同調するだけでは新しいものを生み出すことはできません。創業者は、「積極的に挑戦した結果、成功しなかったことよりも、失敗を恐れ何も行動しないことのほうが悪い」という考え方をする人でした。私自身も、今までにたくさん挑戦をしてきました。そして、失敗を恐れず行動を起こしてきた結果が、仮に失敗であったとしても、それは「このやり方ではうまくいかなかった」という経験ができ、次の挑戦に生かすことができました。

当社も、創業から58年の間に、200ほどの事業を手がけてきましたが、そのうち今でも継続しているものは14ほどです。割合で言えば成功しているのは5〜10%でしょうか。裏を返せば90%以上の失敗で成功を生み出すチャレンジをしてきたということであり、だからこそ人が育つのだと思います。

「世の中のために」を判断できる企業に

脱炭素社会の実現に貢献するために

最後にガバナンスですが、3年前に執行役員制度を導入したことで、取締役会では決議だけでなく、戦略的な討議も毎回テーマを決めて行うように変わり、議論が活発化しています。会議の活発化には、社外取締役の方々も大きな役割を果たしてくれています。現在、当社の社外取締役は、それぞれ違う分野の方を3名選任しており、うち2名は女性で、今後もこの方針を維持したいと思っています。社外取締役の方々には、取締役会のほかにも商品開発会議や情報システム会議、品質環境会議にも分担して参加していただいています。時には、直接私の部屋に来られるともあり、社外取締役の皆さんが経営経験者としての経歴も活かした、非常に有意義な意見をくださっています。

今年は改訂コーポレートガバナンス・コードが施行されました。コードがますます厳格化しており、企業のガバナンスに対する要求が高まっていますが、上場企業の使命として、ガバナンスコードに沿って改革を行い、積極的に開示していく考えです。透明性を確保した経営を継続するには、そこで働く人々が「会社のため」という考えによって保身に走らないようにすることが重要です。「世の中のために、この施策は是か非か」を判断できる集団にしていかなければならないと考えています。

「四方よし」で社会の変化に対応

当社のフランチャイズチェーンの強みは、本部と加盟店が経営理念を紐帯に、固い信頼関係で結ばれていることです。いざというときに加盟店を守ることも当社の重要な務めの一つであり、そのため、2020年春にコロナの影響が出始めたときには、全事業の加盟店のオーナー会社のみならず、営業拠点や店舗で働く社員やアルバイトの方まで含めて、一律にお見舞金を出しました。実際にお渡しするまで非常に早く実行できたことで、現場で働く方々からもお礼の言葉をたくさんいただきました。ダスキンの本部と加盟店が「喜びのタネをまこう」というスローガンを共有する運命共同体だからこそ、こうした施策を迅速に行えたのです。

当社の「祈りの経営」という経営理念は、今の言葉でいえばCSV(共通価値の創造)に当たります。昔ながらの言葉で言えば「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」ですが、当社の場合は「届け手(加盟店)」も加えた「四方よし」になるでしょう。当社は加盟店との信頼関係によって生かされていると、創業から58年を迎えて改めて実感しています。加盟店の経営者も2代目、3代目へと代わってきていますが、当社では経営理念があることによって、本部と加盟店がばらばらになることなく運命共同体として結びつき、フランチャイズ運営ができていると思います。

ステークホルダーの皆様へ

新中期経営方針は長期戦略「ONE DUSKIN」の最終フェーズに入り、その先を見据える時期に来ています。今後の3年間で、「既存事業の発展」「新しい成長機会への投資」「構造改革と経営基盤の構築」「社会との共生」という4つのテーマに沿って、経営基盤を強化しながら経済価値と社会価値、環境価値を相互に実現し、持続的な成長を達成していきたいと考えています。コロナ収束の見通しがなかなか立たない状況が続いていますが、当社はこれまで以上に、地域との共存・共栄を図るとともに、安全・安心で持続可能な商品・サービスの提供を通じて、経済・社会・環境の課題解決に取り組みます。これにより、すべてのステークホルダーの方々にとって豊かな暮らしと笑顔あふれる社会を実現できるよう、力を尽くしてまいります。今後とも、当社グループへの温かいご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

株式会社ダスキン
代表取締役 社長執行役員
山村 輝治