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カビ分野の研究

1. カビとは何か

カビに囲まれた私たちの暮らし

ショッキングに聞こえるかもしれませんが、私たちの日常生活はカビに囲まれているといっても過言ではありません。カビは目に見えなくても常に空気中や身の回りに存在しています。カビは「胞子」と呼ばれる微細な粒子を空気中に放出しています。一般的な室内空気中には、1㎥あたり数百個程度の胞子が存在しているといわれています。カビは単に存在しているだけではなく、私たちの暮らしに深く根を下ろしている存在。駆除するだけではなく、時には食生活などにも利用してきました。

カビに囲まれた私たちの暮らしイメージ画像

カビとは何でしょう(カビの定義)

カビは細菌(バクテリア)などと同じく「微生物」とされており、生物学的には「真菌」に分類されています(カビという名称は通俗的なもの)。栄養や水分を吸収しながら菌糸を伸ばし、成熟すると胞子を形成し増殖を繰り返します。
ちなみに、カビは漢字で「黴」と書きます。かつては梅雨のことを「黴雨」と書いて「ばいう(つゆ)」と呼んでいました。じめじめとした湿気の多い時期ならではの表記といえるでしょう。

❶真菌の仲間たち

真菌はカビ以外に酵母やキノコがあり、二重膜に覆われた核と小器官を持っています。核には細胞の遺伝情報が書き込まれているDNAが内包されていて、それ以外の細胞質の部分とが核膜によって明確に区分けされています。このような構造の細胞を持つ生物は「真核生物」と分類されています。

生物の分類
カビと細菌との違い

同じ微生物でありながら、両者は大きな違いがあります。カビが多細胞生物でDNAが細胞核に内包される構造を持っている『真核生物』であり、細菌類は単細胞生物で細胞核を持たない『原核生物』とされています。この構造の違いが最も大きく表れるのが増殖の仕組み。細菌は単細胞生物であり、細胞自体が生きるための最小限の機能を持っているので、単純に二分裂を繰り返すだけで子孫を残すことが可能です。一方、カビはさまざまな形態や機能を持つ細胞で形成される多細胞生物で、生殖専用の細胞(胞子)によって増殖を行い、子孫を残します。種子によって増えていく植物とよく似た増殖の仕組みを持っています。
増殖のスピードは、肉眼で観察できる大きさのコロニーを生成するまで、細菌は1日程度、カビの場合は3~10日程度かかるとされています。

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酵母

主に単細胞の真菌で、空気中や水、土壌、植物や果物の表面など、自然界のあらゆる場所に生息しています。
酵母は糖分を分解してアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)を作り出す能力を持つものもおり、この性質を利用して、古くからパンや酒の製造に使われてきました。また、酵母は発酵食品(味噌、醤油、漬物など)や飲料の製造にも欠かせません(メソポタミアや古代エジプトでも利用されていた記録が残っており、5,000年以上前から利用されていたようです)。
酵母の種類は非常に多く、1,300種以上が知られていますが、食品に使われるのはごく一部に限られます。

キノコ

真菌類の一種であるキノコ。細胞壁を持ちますが、葉緑体を持たず光合成はできません。栄養は体外から吸収します。一般に「キノコ」と呼んでいる部分は「子実体」という器官で、胞子を作って散布する、植物における花や果実に相当する役目を担っています。本体は「菌糸」と呼ばれる糸状の細胞の集まりで、土壌や枯木の中で広がっています。
身近な食材であるきのこは、樹木と“共生”して栄養を互いに与え合ったり、倒木や落ち葉などを“分解”して土へと還すなど、自然界においては「森のお掃除屋さん」として重要な役割を果たしています。

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カビの構造について

カビは
●菌糸(体を構成するもので、物質を吸収する)
●胞子(カビのタネ/繁殖の単位)
という2つの要素で構成されていて、菌糸の成長と
胞子の形成というサイクルを繰り返します。

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菌糸

糸状の細胞で、枝分かれしながら生育します。菌糸は植物でいえば茎と根の両方の役割を兼ねており、カビ自身を支えるとともに、栄養分を吸収する役割を果たしています。この菌糸が成長し、集合したものを「菌糸体」と呼んでいます。人が目で見て「カビが生えた」と気づくのは、「菌糸体」となった状態です。

胞子

菌糸が成熟すると、先端に「胞子」と呼ばれる微細な細胞を形成します。胞子は非常に小さく、空気中に飛散し、空中を漂った胞子は新しい場所で発芽、再び菌糸体を形成します。カビの胞子は青や茶、黒色など色とりどりです。

他の微生物とのサイズ比較

細菌や真菌は非常に小さい微生物ですが、光学顕微鏡で見ることができるのに対し、ウイルスはさらに小さく、光学顕微鏡を使っても見えません。また、カビは胞子の状態では目に見えませんが、成長すると単体でも目に見えるようになります。

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カビの生活史

植物が繁殖するのと同じように、カビにも繁殖するライフサイクルがあります。カビは、胞子の発芽、菌糸の成長、胞子の形成、拡散というステップを繰り返しており、周囲の条件次第で猛烈な勢いで繁殖していきます。

❶カビの発生

カビの胞子が対象物に付着し、適切な環境が揃えば発芽し、菌糸を伸ばして成長します。

❷カビの増殖メカニズム

菌糸が成熟すると、新たな胞子を形成し、空気中を漂って拡散し、他の場所に付着して再び発芽、成長を繰り返します。

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胞子の発芽

カビの胞子は、湿度、温度、栄養源などの条件が揃うと、発芽して菌糸を伸ばし始めます。

菌糸の成長

発芽した胞子は、菌糸を伸ばし、枝分かれしながら周囲に網目状に生育範囲を広げます。

胞子の形成

菌糸が十分に成長すると、新たな胞子を形成します。

胞子の拡散

形成された胞子は、空気中に飛び出して、風や水、あるいは人や動物によって他の場所に運ばれ、新たな場所で発芽、成長を繰り返します。

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❸カビの生育条件

カビが発生し、生育する条件は以下の4つがあります。

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栄養

カビは炭水化物・タンパク質などの有機物を栄養にして成長・繁殖します。具体的には、食べ残しやホコリなどが挙げられます。中にはプラスチックを栄養源にするものもあり、私たちの身の回りにあるものには、条件さえ揃えばカビが生えてしまいます。

水分(湿度)

水分の有無や湿度の高さはカビの繁殖に大きな影響を与えるポイント。図表からもわかるとおり、湿度が60%以上の環境はカビにとって快適な湿り具合と言えます。

温度

カビが最も成長しやすい温度は、20~30℃とされており、これは人にとっても最も快適な温度帯。中には暑さや寒さを好むカビもいますが、多くのカビは人間が好む温度で最も成長します。
冬はカビにとって繁殖しづらい環境のように思えますが、近年は住まいの気密性が高まり、暖気がこもりやすいので、その他の季節と同様に室内はカビにとって好適な環境といえます。

時間

カビは、適切な温度と湿度の条件下では、胞子が対象物に付着後数日(3~10日)で目に見える大きさにまで成長します。ただ、カビの種類や栄養源、環境条件によって生育速度は大きく異なります。

上記の条件に加えて、酸素が存在する環境であればカビは繁殖を始めます。

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カビの種類

現在、カビは80,000種以上確認されていますが、今後さらに新種が発見され、種類は増加していくものと考えられています。

❶住まいの中の代表的なカビ

住まいの中で見られる代表的なカビとしてはアオカビ・コウジカビ・クロカビが挙げられることが多いようですが、このほかでよく目にするものとしては浴室の床・水栓まわりやキッチンの排水口付近などに発生するピンクぬめりがあり、これは真菌の一種である酵母が原因である場合もあります。いずれにしても、湿度・気温・栄養という繁殖のための条件がそろった場所で目にすることが多いようです。

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アオカビ(ペニシリウム)

食品に生えることが多いカビで、寒い所やミカンやリンゴ、餅などに生える例が知られています。また、ハウスダストにも含まれています。

コウジカビ(アスペルギルス)

パンやナッツ類、穀類などによく生えるカビ。ハウスダストの中にも含まれています。

クロカビ(クラドスポリウム)

世界で最も多いカビ。空気中に多く浮遊していて、浴室や洗面所、エアコンに黒い斑点のような姿を見せるカビ。

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カビと人間のかかわり

カビは私たちの日常に非常に近く、暮らしに大きな影響を与える存在。そこには人にとってプラスの側面とマイナスの側面があります。

❶暮らしに役立つカビ(プラスの側面)

カビの一部は、食品製造の現場で大きな役割を果たしています。特定食材の発酵過程には不可欠なほか、風味や食感、あるいは保存性を高めるという役割を担っています。また、医薬品の開発や遺伝学研究などの医療分野でも利用されています。

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カビを利用した食品製造

❶日本酒・味噌・醤油・みりん・塩麹・甘酒の製造
米や大豆などの原料にコウジカビ(アスペルギルス属)を繁殖させることで「麹」を作ります。この麹が分泌する酵素が原料のデンプンやタンパク質を分解、発酵を促進して独特の旨味や風味を生み出します。

❷鰹節の製造

乾燥・熟成過程でカワキコウジカビ(ユーロチウム属)を付着させます。この過程で鰹節独特の香りや旨味、保存性などが向上します。日本食の礎を築いた大発明。

カビを利用した薬品製造

❶ペニシリン(抗生物質)
アオカビ(ペニシリウム属)を利用した世界初の抗生物質で、1928年にイギリスのアレクサンダー・フレミング博士が発見。肺炎、梅毒、咽頭炎など、細菌感染症の治療に広く使用されています。

❷心血管疾患予防薬
コウジカビの一種であるアスペルギルス・テレウスは、コレステロール低下薬などの生産に利用されています。血中コレステロールを下げる薬として、心血管疾患の予防や治療に広く使用されています。

カビはこのほか、免疫抑制剤、酵素、ビタミンなど、多様な医薬品の原料や製造元として利用される一方、生物学的研究におけるモデル生物としても利活用されています。

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❷暮らしに悪影響を及ぼすカビ(マイナスの側面)

カビ(胞子)は空気中に広く存在しているため、食品に付着して増殖することで、腐敗や変色などの悪影響を及ぼします。また、住まいのさまざまな場所で繁殖し、家屋を汚すとともにその傷みにもつながりかねません。

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カビによって食品が腐敗・変色するメカニズム

❶付着・生育
⑴カビの胞子が食品の表面に付着します。
⑵食品の表面にカビの生育に必要な栄養・水分・酸素などの条件がそろうと、胞子から糸状の菌糸が伸びていき繁殖を始めます。

❷分解・腐敗
⑴酵素を分泌し、食品中の炭水化物・タンパク質などを分解して栄養源としつつ成長します。
⑵タンパク質が分解されるとアミノ酸になり、さらにアンモニアや硫化水素などに分解。このときに腐敗臭が発生します。
⑶でんぷんや脂質なども分解され、食品の質感や味も劣化します。

❸産生物による変色
⑴分解の際に異臭や異味を生じるほか、食品表面がぬめり、風味や食感が失われます。
⑵カビの種類によっては食品の表面に色素を出し、変色を促します。

カビによる住まいの汚染

❶美観を損ねる
カビの繁殖が進行している箇所には黒ずみなど変色した部分が現れ、美観を損う原因となります。

❷快適性の喪失
独特の異臭(カビ臭)が発生し、生活空間の快適性が失われます。特に雨漏りのたびに生えるカビとカビ臭は住人の悩みのタネ。

❸安全性・資産価値の低下
壁、床、天井など建築資材や部材の劣化・腐食を引き起こします。特に木造住宅では、柱や梁が腐食することで、家の強度や耐久性が大きく損なわれ、資産価値が下がるリスクが発生します。

生体への悪影響

カビは、空気と一緒に吸い込んだり、食べ物と一緒に口にすることで、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。「たかがカビ」といって侮ってはいけません。

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2. カビと住まい・暮らし

日本の暮らしとカビ

四季があり、とりわけ梅雨から夏にかけては高温多湿となる日本の気候。この特色ある気候のため、日本の住まいは古くから、ある意味カビと「共存」する工夫をしてきました。

❶昔から続く日本家屋のカビ対策

たとえば、古来日本の家屋は木材や土壁、畳など自然素材で建築され、素材自体が湿気を吸収・放出することで室内の湿度を調整していました。また、高床式の構造や開放的な間取り、襖や障子による仕切りなど、「風通し」を非常に重視した設計で、カビの発生を抑制するなどの工夫が取り入れられてきました。

それでも、水まわりや押し入れなどには湿気が溜まることが多く、カビの発生に悩まされることも多かったため、タンスや押し入れにしまっていた着物や書籍などを屋外で干す「虫干し」なども定期的に行われていました。

❷近年の住宅事情の変化によって…

気密性の高さや集合住宅による通気性の問題、さらに自然素材からコンクリートの多用などで、従来工法の住まいに比べて湿気が滞留しやすく、発散されにくい環境となっています。そのため、梅雨から夏場に限らず、1年を通して換気や通風に対して積極的に取り組まなければ、これまでよりもカビが生えやすくなっている面もあります。

カビが発生する代表的な場所

住まいのあらゆる場所でカビは発生し、繁殖しています。

キッチン

つねに水分があること、またカビの栄養となる食べ残しや洗剤の成分なども多いことなど、格好の繁殖条件が揃っています。

窓まわり

窓枠の溝付近やゴム部分には結露による水分が多く、想像以上にカビが生えています。外気と触れて冷えやすく、室内のホコリなどの栄養分が多いのも繁殖しやすい理由です。

浴室

天井や壁面、浴槽、床などに残る水滴、そして適度な温度など最適な環境。また、皮脂汚れや洗剤・シャンプーに含まれる成分など、カビの生育条件が揃っています。

寝室

日当たりが良くないことが多いので、結露が発生しやすく、窓際や押し入れ付近にはカビが多く発生します。ふとんなども、定期的に干すなど乾燥を心がけることが大切。

洗濯機

洗濯槽内は水分が多いのに加え、アカや洗剤に含まれる界面活性剤などが栄養分となり、カビの温床となるケースが多いようです。

靴箱

濡れた靴や内部が湿ったままの靴などが入っている靴箱。内部は閉鎖系で狭く多湿で換気もしにくく、しかも栄養分が豊富で、繁殖のための条件は十分揃っています。

エアコン

フィルターだけでなく内部の奥までカビが生える可能性が。送風口から吹き出す風に乗って、部屋の隅々にまで広がってしまうことも考えられます。

室内の空気には多くのカビ胞子が…

室内の空気中には、目に見えないさまざまなカビの胞子が漂っています。胞子は室内の気流に乗って、室内外の空気中に広がります。

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空気中に胞子が多い理由

カビ胞子にはすぐれた耐久性があり、乾燥状態や温度の変化などの目まぐるしく変化する環境条件にも耐え、長期にわたって生存します。自身の生育条件が整った環境に遭遇すれば短期間で大量の胞子を生産、さらに空気中に拡散します。胞子を空中に放出して浮遊させるのは、新たな繁殖場所を見つけるための生存戦略ともいわれています。

浮遊する胞子を減少させるには

❶空気の滞留を防ぐ
滞留した空間は湿度上昇やカビの定着原因になります。扇風機やサーキュレーターを利用して空気を循環させ、空気が滞らないようにします。

❷空気清浄機の設置
HEPAフィルターを搭載した空気清浄機であれば、空気中のカビ胞子を効果的に捕集・除去できます。

❸エアコンや換気設備のメンテナンス
フィルターや内部にカビが繁殖している可能性があります。定期的な清掃・メンテナンスを行うことで空気中への胞子の飛散を防ぎます。

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エアコンとカビ

コロナ禍以降の在宅時間の増加や温暖化傾向が続いていることもあり、エアコンの稼働時間は年間を通して伸びつつあります。稼働時間が長くなる分、エアコン内部で繁殖するカビが多くなることが考えられます。

❶エアコン内部にカビが生えやすい理由

エアコンのモードを冷房にすると、エアコン内の温度が下がって結露が発生します。あるエアコンをダスキンが調査したところ、冷房をONにすると湿度は約85%まで上がり、また、冷房をOFFにしてから6時間以上、エアコン内の湿度が室内の湿度まで戻ることはありませんでした。これは、エアコン内がほぼ密閉された空間であることと、エアコン内のホコリが吸湿することが影響していると考えられます。高湿度の状態が長時間維持されることが、エアコンがカビやすい原因です。

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カビが繁殖する部位

エアコンはフィルター部分だけでなく、内部も汚れます。ホコリと湿度があるので、カビは育ちます。汚れた内部からカビの胞子が室内に放出されているかもしれません。

エアコンの清掃とカビ

❶フィルター清掃とカビ
汚れたフィルターは清掃される機会も多いようですが、掃除回数はエアコン内部(ファン)のカビ数に関係ないことが明らかになりました。フィルターでは取り除けず通過したホコリが内部に溜まり、カビの栄養源となっている可能性があります。

❷エアコンのお掃除機能の効果
エアコンのお掃除機能の多くはフィルター部分の清掃のみ。内部のファンや吹き出し口はキレイにできていません。ファンのカビ数をお掃除機能の有無で比較すると、ほとんど差がないことがわかりました。

❸エアコンクリーニングの効果
専門業者によるエアコンクリーニングは、熱交換器やファンのすみずみまで清掃が基本。エアコンクリーニングの前後でカビ数が約1/1,000まで減少していることがわかりました。

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❷エアコン内部でのカビ発生を抑えるには

エアコン内の高湿度がカビの原因であることから、冷房を切った後は、送風でエアコン内の湿度を下げることが有効です。お掃除機能付きエアコンの場合、機種によってはエアコンを停止させると自動で送風が始まるものもあります。自分のエアコンにどんな機能が付いているのか、今一度見直してみると良いでしょう。

❸日常のエアコンのお手入れは

フィルターは定期的に清掃しましょう。内部の清掃にスプレー洗浄剤を使用する方も多いようですが、正しく使用しないと故障の原因になることもあるので、使用方法をよくご確認ください。エアコン内部の洗浄は信頼できる専門業者に頼むのが安心でしょう。

住まいの中のカビが発生しやすい場所

❶キッチン

キッチンは栄養分や湿度(水分)、温度など、カビが生育するのにうってつけの条件が揃った環境となっています。シンクは毎日大量の水を使い、まな板は口にするものを扱う所ですから、しっかりとカビ対策を行うことが大切です。

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キッチンにカビが発生しやすい理由は?

湿気、食べ残しを放置するのはNG。とくに、三角コーナーや排水口付近はエサとなるものが豊富で、水分もあるためカビが育ちやすい場所です。

こんなところに要注意

❶冷蔵庫のドアパッキン
冷蔵庫のドアパッキンは結露しやすく、黒いカビ汚れがついているのを目にすることも少なくありません。汚れた手で触って、カビたちにエサを与えないように気をつけましょう。

❷食器洗浄機のパッキン裏
食器洗浄機も水気がたまりやすいカビスポットのひとつ。使用後は乾燥を心がけましょう。特に耐熱性のカビが多いので健康への影響にも注意。

❸洗剤容器・置き場
食器洗浄機も水気がたまりやすいカビスポットのひとつ。使用後は乾燥を心がけましょう。特に耐熱性のカビが多いので健康への影響にも注意。

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❷浴室

浴室は住まいでも指折りの多湿環境だけに、カビの生えやすさもトップクラス。皮脂汚れやシャンプーの成分など、栄養になりそうな汚れはこまめに除去しましょう。

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浴室内の高い場所に注目!

水滴が付きやすく、掃除の手が回りにくい天井や壁の上部などは要注意。繁殖してしまうと、高い場所から放たれた胞子が浴室全体に広がります。

浴室周辺のカビ除去のポイント

❶天井や壁の上部
グラフからもお分かりのとおり、床と比べて2~3倍ものカビが付着していることも。忘れずにお掃除するよう心がけましょう。

❷退治のつもりが拡散してる?
強い水流で一気に流そうとすると、カビの胞子が飛び散ってしまうことも。40℃前後の温水シャワーでやさしく流しましょう。

❸タオルやバスマットにもご注意
使用済みタオルやバスマットは、濡れたままにしているとカビにとって理想的な状態に。タオルは使うごとに交換し、バスマットも乾燥を心がけましょう。

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❸窓まわり

冷たい外気によって結露が発生しやすい窓の内側には、カビが大量に発生します。とくに水滴やホコリがたまりやすい窓の下部にカビが生えやすいようです。また、よく結露が付くカーテンにも黒いカビが生えることも少なくありません。

❹靴箱/靴

家の外を歩いているうちに、泥やホコリで汚れたり、雨に濡れてしまった靴をそのまま靴箱の中にしまい込んでいませんか?実は、靴箱はカビの一大繁殖地。久しぶりに出した靴がカビで台無し、という事態を招かないよう、注意が必要です。

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靴は乾燥させてから靴箱へ

閉め切った靴箱の内部は湿気がこもりやすく、その湿気と靴に付着した皮脂や汚れ(カビの栄養源)がカビの繁殖を助けます。また、汗などで靴の中が湿っていると、靴内部にもカビが生えてしまいます。外側についた水分や汚れは落とし、靴乾燥機などで内部を乾かしてから靴箱に収納する習慣をつけましょう。

靴箱にカビをはやさないためのポイント

❶靴を詰め込みすぎない
靴を詰めこむと通気性が悪くなり、カビが生えやすくなります。いらない靴は入れないなどすき間を作って、通気を確保しましょう。

❷除湿剤を置く
市販の除湿剤などを入れて、湿気を下げるようにしておきましょう。

❸定期的に換気する
定期的に扉を開けて空気を入れ替えましょう。ただ、雨の日は空気が湿っているため、晴れた日に行った方が効果的。また、扇風機やサーキュレーターを使ってもOKです。

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➎寝室

寝室、さらに押入れは湿気のたまりやすい場所で、カビが生育しやすい条件が揃いがち。ふと気づくと、寝具や衣類にカビが…、といったケースも少なくありません。

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寝汗がカビの原因に

一晩でおよそコップ1杯分(約200mℓ)ともいわれる寝汗が寝具に染み込み、たまります。そのため、寝具を干さないでいると、床やマットレスと接している面にカビが生えることがあります。

押入れがカビの天国になっていませんか

ふだん開け閉めをする機会の少ない押入れやクローゼットは、以下のようにカビが生えやすい条件が揃っています。
⚫︎温度変化が大きく、結露ができやすい
⚫︎エサになるホコリが多い
⚫︎空気がよどみやすい
こまめな清掃や水分の除去、通気に気をつけるなど基本の対策がカビ予防のポイント。

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❻洗濯機(洗濯槽)

洗った直後の洗濯物に、黒い斑点のようなものがついていたり、ひどくなると褐色のかさぶたのようなものが付着していたり。洗濯機内(洗濯槽など)にカビが生えたときに見られる現象です。

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洗濯水を培養すると…

豊富な水分や洗剤カスなどのエサがある洗濯槽の裏側は「カビの温床」になりがち。洗濯水をシャーレで培養してみると、実にさまざまな色のカビが生えてきました。洗濯機の中には、さまざまな種類のカビが繁殖していることがわかります。

カビに汚染されやすい洗濯槽

洗濯槽がステンレス製であっても生えるというカビ。洗剤の成分によって種類は異なりますが、多くは槽の上部の喫水線(水面の高さ)より上に生えています。

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カビを見つけたら

環境を整えても、気をつけていても、カビが生えてしまうことはあります。そんなとき、まず実行したいのが、除去(清掃)する前の「記録」と、その後の「観察」です。

❶「記録」と「観察」をしっかりと

カビは一度生えた場所に再び生える可能性が高いとされています。どの場所にカビが生えたか、どれくらいの期間で成長したのかなどを写真やメモで記録しておくと、対策が立てやすくなります。

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気づいたときには、しっかり記録

カビが生えていることに気づいたときは、急いで拭き取らずに、スマートフォンなどで写真を撮り、メモ帳などに下記の4つのポイントを記録しておきましょう。

記録するポイントは
⚫︎カビを見つけた(退治した)日
⚫︎カビを見つけた(退治した)場所
⚫︎次に同じ場所でカビを見つけた日
⚫︎退治して次に生えるまでの間隔

記録したら、退治して経過を観察

家の中でカビが生えた場所を確認・記録したら、除去に効果的な方法を試してみましょう。カビ退治した日と次に見つけた日を記録しておくことで、カビが生えてくる間隔が明らかになります。生えてくるよりも前に対策することでカビ予防につなげていくことが大切です。

【 カビ対策は「除去」から「予防」へ 】

カビが生える間隔が確認できたら、そのタイミングが来る前に予防対策を行います。カビ掃除にはカビ取り剤を使用するケースが多いですが、カビ予防にはアルコールスプレーが扱いやすくておすすめです。カビが生えそうな場所に定期的にスプレーしておきましょう。
カビの予防は、湿気・栄養分を残さないことに加えて、カビそのものの存在をリセットすることもポイントになります。

カビを増やさないための3大原則

❶湿気対策
気密性の高い住まいは結露ができやすいので、風を通して湿気をたまりにくくしましょう。また、こぼれた水分などは素材に浸透する前に拭き取っておきましょう。

❷ゴシゴシこすらない
胞子を取るには拭き掃除が有効ですが、素材に深く食い込んだ菌糸は取れません。力づくでこすると、素材をキズつけ、かえってカビの住み家を増やすことになります。

❸こまめにホコリを取る
室内のホコリはカビにとっての栄養源となりますので、こまめな掃除が大切です。とくにモップなど手軽にできる掃除道具をおすすめします。

カビを増やさないお掃除テクニック

❶洗剤と漂白剤を使った掃除
カビで黒ずみなどができた場合は、まずは中性洗剤とスポンジを使って、やさしくこすり洗いして表面の汚れを洗い流しましょう。
その後、塩素系漂白剤をスプレーし、色が消えるまで放置してから、洗い流しましょう。
※漂白剤では色が消えない場合もあります。その場合は、30分を目処に洗い流してください。

❷薬剤を密着させる
タイル目地やゴムパッキンのカビの場合、根(菌糸)が奥の方まで達していますが、壁に向かって普通にやカビ取り剤などをスプレーしても、薬液は下の方に垂れてしまい、目地の奥までは浸透しません。
●「湿布法」や「ラップ法」を試してみましょう壁などの垂直な面には「湿布法」、床などの水平な面には「ラップ法」がおすすめです。湿布法では、ティッシュペーパーをねじって細いひも状にし、洗剤をつけてカビの生えている目地に貼付けます。ラップ法では、洗剤を目地にスプレーした後、上からラップをかけて密着させます。
両方の方法を併用するのも効果的です。このようにすることで、洗剤を長時間密着させることがで、こすらずにカビを除去できます。

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