想いをつなごう。その人の、その先へ。ダスキン60周年記念

研究・発表

フォーラムレポート(2006年)

2005年11月から翌年1月までの計4回の研究会の成果発表の場として2月18日「子どもたちの力を伸ばす掃除を考えるフォーラム」を開催いたしました。

■日時:
2006年2月18日(土)13:00~16:00
■場所:
グランキューブ大阪(大阪国際会議場) 10F 1009会議室
■プログラム:
時間 内容 資料等
13:00 開会 開会の挨拶
13:10 第一部
基調講演
心を磨く「自問清掃」
基調講演講師
長野県公立小学校教諭
平田 治 氏

『子どもが輝く「魔法の掃除」-「自問清掃」のヒミツ』(三五館)著者
  • ・レジュメ
14:10 質疑応答
14:20 休憩
14:30 第二部
事例発表
学校の掃除教育プロジェクト 取り組み事例
I .授業と毎日の掃除活動の連携による児童の意欲喚起について
II .全校取り組みの展開と運営について
暮らしの快適化生活研究所
研究員 森岡 たかこ
  • ・取り組みレポート(A3版)
14:50 第三部
研究発表
子どもの力を伸ばす掃除活動
~「段取り力」に注目して~
学校の掃除教育研究会
メンバー 鈴木 暁子
  • ・成果報告書(A4冊子)
  • ・レジュメ
15:20 掃除の教育的活動に学校全体で取り組むために
学校の掃除教育研究会
メンバー 高畠 耕一郎
  • ・レジュメ
15:45 質疑応答
15:55 閉会 閉会の挨拶
16:00 終了
■当日参加人数:
総参加人数76名
・教育関係者 51名
・企業/その他 25名
≪教育関係者内訳≫

■参加者アンケート概要

開催当日、参加者による自由記入式のアンケート調査を実施。有効回答数は47件。教育関係者による回答は44件となりました。

≪講演内容について≫(n数=47)
「参考になった」から「参考にならなかった」までの5段階択一方式で設問しています。
基調講演は92%(参考になった71%+少し参考になった21%)、第三部の研究発表では I.90%(58%+32%)、II.は88%(50%+38%)と高い評価が得られました。

●第一部 基調講演

●第二部 事例発表

I .授業と掃除時間の連携
II .全学年取り組みによる展開と運営

●第三部 研究発表

I .「段取り力」に注目して
II .掃除の教育的活動に学校全体で取り組むために

≪掃除教育に関する催しや勉強会への参加意志について≫(n数=47)
7割以上の先生が参加意思(73%)を表明されています。ちなみにこの割合は昨年の結果(71%)と あまり変わらず若干の増加でしかありませんが、明確にいいえと答えた比率は確実に減少(29%→ 6%)しています。

●掃除教育に関する催し等の参加意向

≪自由記入≫

講演関係者、主催団体以外の固有名称を除いて、ご記入いただいたままの全文をご紹介しております。

担当学年 担当教科 Q12.ご意見
小1 * 今まで掃除を子供達に指導することを色々考えていました。一番考えていたのは、ビル清掃等にたずさわる方をゲストティーチャーとして招いて、プロの技を子供達に見せるということです。本日のダスキンとの発表を見て、ダスキンの方と一緒にやっていくことも方法の一つだなあと考えました。また機会がありましたら、よろしくお願いします。ありがとうございました。
小1 * 掃除教育に関する研修の場が私の県ではほとんどないので今回参加させて頂いて、大変参考になり ました。掃除に対する認識を変えて指導に取り組みたいと思いました。
小2 * 暮らしの快適化生活研究所の皆様、色々教えていただきありがとうございます。毎日のことに追われていましたが、「そうじ=心を磨く教育」心に留めて今後指導していきたいと思います。
小3 * 全校で取り組んでもらう協力態勢を取る難しさを感じています。担当者に要望が来るばかりで毎日指導することすら協力が得られていません。自問清掃ができあがったら指導者は、直接にはいらないわけですが、そこに持っていくまでが・・・。気が遠くなります。
小4 * 平田先生のお話は、とてもわかりやすく、これまでの自分を反省した。確かな学校経営があってこその実践だと思うので、単に掃除の時間に技術的にマネをしてもうまくいかないと思った。また、担任する学級において実践することには前向きになれるが、学校全体として取組みはなかなか難しい。第3部の発表及び、後の質疑にあったが、教職員の意識統一が実践を進める上でのポイントであると改めて思った。平田先生の話と、各校事例とを聞き、相容れないところがあるのでは?と思ってしまった自分の発想は、マニュアルに頼りすぎる弊害かな、と思った。様々な実践から、その場に応じたものをつくりだしていきたい。
小5 * 私は校内の清掃担当をしています。担当していることもあって、 とにかく学校をみんなの力で美しくしたいという思いです。夏休みもほぼ校内美化のために、不用な大型ゴミを処分したり、カーテンを洗ったりetcと、時間を費やしました。でも不思議と無駄な時間を使ったとは思わないんです。それどころか、自分の中に充実感とやる気がうまれ、ますます何かしていきたいという思いでいっぱいなところへ、ダスキンさんの市内での研修会があり、参加しました。私が体を動かして、自らきれいにしようと思っていたことが整理された型で、出てきたような気がしました。そして、今日のフォーラム、是非参加したくてやってきました。清掃を通して今後も真の力を子供達につけていくために頑張りたいと思います。※もしよろしければ研究会のメンバーにもならせて頂きたいです。
小学校 * 内容が盛りだくさんでよい勉強ができました。改めて豊一小はすごい取組みをしたのだと再認識しました。
小学校 * きてよかった。とても勉強になりました。時間通りの進行はよかった。
その他 社会 勤務する小学校は、小中一貫キャリア教育校として、今年度よりスタートしています。本フォーラムで提案いただいたことを職場で伝えて、来年度の教育活動の参考にさせて頂きます。
担当学年 担当教科 Q12.ご意見
中1 数学 質疑応答でお話があったように、「せっかく小学校で様々な工夫をして、掃除について取組みをしても学年が上がる度にモチベーションが低下(場合により急低下)してゆくのは何故?」は大きな課題だと思 います。「小1プログラム」という言葉がマスコミで取り上げられていますが、最近の傾向では小3・4・5の3年間で子供達の集団が大きくゆれ、集団生活の規範が崩れきってしまう例も少なくありません。(子供達だけの課題ではなく、その時期に家庭環境が大きく変化する背景もあります)高学年から中学校(ときには高1)にかけては、その子供のこれからの社会での生き方と密接につながる時期だけに、掃除教育がこの時期の子供たちにどのような働きかけができるのか考えてゆく価値は大きいと思いました。
中1 理科 「清掃の時間を何かに生かす」共感します。
中1 国語 学校を美しく、ということは清掃という面が一番重要だとは思いますが、ゴミを落とさない、トイレを美しく使うという面も重要だと思います。女子トイレのナプキンの捨て方など、トイレにはるような掲示物があれば教えていただきたいと思います。
中1 社会 企業の持つ専門性を(特に総合学習などの内容で)活用していくことはこれからますます増えて行くと思うし、生徒にとっても視野が広がっていくことになると思う。夏期にこのようなフォーラムやセミナーがあれば参加したい。今まで清掃はさせるものだったけど、清掃は学びの可能性を沢山持っていると思った。
中3 英語 吹田南小学校のビデオメッセージで登場された先生が使われた「段取り表」がありましたら、見たいのですが・・・。
中3 国語 初めて参加させていただきとても学習(勉強)になりました。人間として、子供に勉強とは教科だけではないと話してはいても、こんな具体的に身近にあった“そうじ”を、重要視していませんでした。色々教えていただき、ありがとうございました。
中学校 数学 ダスキンはすごいなぁーと思いました。
中学校 管理職 掃除によって、子供の情緒が澄んで行く、そんな人の行き方・取組みができれば、と思っています。(共感・共生・下座)掃除指導の方法を学ぶのではなく、年々の子供が掃除によって生き方を見つける取組みを目指したい。その意味で、平田先生の取組みに共感致しました。その過程において、本日御発表のダスキンさんや小学校の取組みを大いに参考にさせていただきます。ありがとうございました。合掌
中学校 管理職 学校の荒れはトイレに表れます。汚ければ更にそれはエスカレートし、生徒の心は高まりません。それだけに、トイレを最も美しい場所にしたいと考えています。
養護 * 清掃で培った力が、他の場面でもいかされ、見られていくと本物だと思います。
* 力の育成に焦点をあてられた実践内容を聞きたかった。
* 企業と学校の連携がうまく機能し、子供たちにとっての素晴らしい実践研究がされていると思いました。また、私は長野県で自問清掃に取り組んでいるものですが、前段の自問清掃の発表と、後段の発表に共通点があるように思いました。まず、子供たちの自発性を伸ばすための実践の場として清掃を位置付けていること、目標が同じであると思いました。「段取力」を育む掃除活動の基本パターン、考える→実行する→振り返る、自問では説得→自問→自己評価・自己アンケート、にも共通性を感じました。すばらしい会を提供して下さり、ありがとうございました。

学校掃除を子どもたちの力を伸ばすことができる一つの教育機会としてとらえ、現職の先生方とダスキン暮らしの快適化生活研究所との協同研究を重ねた「学校の掃除教育研究会」の成果発表の場でもある「子どもたちの力を伸ばす掃除を考えるフォーラム」。会場にきていただいた先生方も熱心に聴講され、限られた時間ではありましたが質疑応答も盛んに行われました。今後も先生方との掃除教育研究をさらに推し進め、学校現場での活用度が高まり、実践促進につないでゆくことできればと願っております。

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